花粉防止メガネ&サングラス
花粉症対策の基本は花粉を部屋に入れないこと
また、嫌な花粉症の時期がやってくる……。春を前にしてそんな思いの方も多いのではないでしょうか?
花粉症は30歳代で48.1%、40歳代で32.9%の方が発症しているという調査結果も出ており(wiwi調査)、まさに現代病ともいえる深刻な問題となっています。根本的な治療法がないだけに、多くの人を悩ましているわけですが、花粉症対策の基本は、花粉に触れる機会を減らし、身の周りから花粉を排除すること。環境省の「花粉症保健指導マニュアル」には、マスクをすることで花粉吸引量を1/3〜1/6に、メガネをすることで1/3に減らすことができるとありますが、まずはこのあたりが取りかかりやすいところでしょう。
でも自宅に戻ったら、やはりリラックスしたいところ。そのためにも、とにかく花粉を部屋に入れないことです。とはいえ、花粉症の原因の代表格、スギ花粉の場合、1粒の大きさが30μm、イネ花粉で20〜40μmととにかく小さいため、どう対策を立てるかはなかなか難しいところです。
窓の開閉は必要最低限にして、基本的には閉めておくことはもちろん、結構大きな原因になるのが洗濯物。外に洗濯物を干すと、どうしてもこれに多くの花粉が付着してしまうため、この時期だけは、乾燥機を利用するか、室内に干すという手段を講じるといいでしょう。
花粉が付着しにくいコートを着用し、ブラシで払い落とす
そして、玄関からの人の出入りにおいても花粉は部屋に侵入してきます。これを最小限にするための方法としてお勧めなのがコートやジャケットの利用です。
人が外を出歩くと、どうしても体に花粉が付着します。そこで、花粉が付着しにくいコートやジャケットを着るとともに、玄関に入る前にそれを落とすといいのです。ただし、どんなコート、ジャケットでもいいというわけではありません。生地表面の凹凸が少ないツルツルしたタイプのものや、織り目が詰んでいる生地、長い繊維で織られている生地のものがいいでしょう。また、静電気が起きにくい素材というのも重要なポイントです。
そして、玄関に入る前、ブラシを使って花粉を払い落としましょう。調べると、コートやジャケットの素材によって、それにマッチしたブラシというものが存在するので、ぜひ最適なものを探してみてください。そして、このブラッシングによって、花粉だけでなく、その他の埃や汚れも落とすことができるので、クリーニングの回数が格段に減るのもうれしいポイントです。
部屋に入った花粉は浮遊させずに除去する
そうした対策をとっても、花粉の完全なシャットアウトというのはできません。やはりある程度の花粉は入ってきてしまうので、今度はそれをどう除去するかということが課題になります。
すぐに思いつくのが掃除機ですが、実はこれがクセ者。最近は排気の弱い高価な掃除機も登場してきていますが、多くの掃除機の場合、排気によって、床や畳、カーペットに落ちている花粉を舞い上げてしまい、かえって花粉症にとって悪い効果を及ぼしてしまうケースが多いのです。
そのため、できるだけ掃除機は使わず、花粉を吸着する機能を持つモップを利用したり、濡れ雑巾による拭き掃除をするといいでしょう。ただし、雑巾を使う場合は、とにかくマメに洗ってきれいな状態で拭くこと。汚い雑巾で何回拭いても、結果的に花粉が床に残ってしまうし、下手にこすると、花粉が砕けて数μmの花粉塵となってしまい、さらにやっかいなことになるので注意が必要です。そこで便利なのがボロ布の活用です。不要になった服などをストックしておき、その都度適当な大きさに切って拭くのに利用すれば、使った後、そのまま捨てることができます。
ちなみに、舞い上げるという意味では、ファンヒーターやエアコンなども要注意。できるだけ、不要な風を起こさず、床などに堆積した花粉を効率よく除去するように心がけましょう。
花粉症の季節は、空気清浄機を使用
そして、こうした掃除と併用するといいのが空気清浄機です。
リビングや子供部屋に置くことで、空中の花粉をしっかりキャッチし、家族を花粉から守ってくれます。ただし、空気清浄機は即効性があるわけではないので、スイッチを入れたら即、花粉がなくなるわけではありません。
重要なのは、これを24時間つけておくことです。留守中、人がいない間もつけておくことで、少しずつ花粉を吸い取り、清潔で快適な空間をキープしてくれます。中には「24時間使用するなど電気の無駄だ」と思われる方もいるでしょう。製品にもよりますが、空気清浄機の使用電力は少なく、例えばダスキンの「良質空感」なら、おやすみモードで5W、ハイパワーでも53Wです。静音運転の場合7Wとなり、この状態で24時間つけっぱなしでも、電気代は1日あたり3.7円、1ヵ月で約110円程度です。
また、普段は空気清浄機は不要だけど、花粉症のときだけは……という人なら、その期間だけレンタルするというのも手です。これなら、しまっておくスペースもいらないし、コスト的にも有利ではないでしょうか? なお、購入した場合でも、フィルター交換はマメに行わないと空気清浄機本来の効果を発揮することができないので、注意が必要です。
「花粉症」の起こるメカニズム
花粉症のメカニズムはアレルギーのメカニズムと同じです。少し専門的ですが、改めて説明しましょう。
まずは、登場するものを整理しておきましょう。
■スギ花粉:アレルゲン、アレルギーを起こす物質。
■マクロファージ:白血球の一種。アレルゲンを取り込んで処理してリンパ球に示すために細胞表面に再びアレルゲンの一部を表わす。
■T細胞:マクロファージからのアレルゲンを認識してB細胞に知らせるリンパ球
■B細胞:形質細胞に変わり、IgE抗体というタンパク質を産生する細胞
■形質細胞:IgE抗体というタンパク質を産生する細胞。B細胞と同じもの
■肥満細胞:白血球の仲間。化学物質を多く持っており、刺激で放出。
■化学物質:ヒスタミン、ロイコトリエンなど
花粉が目や鼻に入ると、花粉がマクロファージに取り込まれます。その花粉を処理したマクロファージが細胞の表面に表われ、T細胞に花粉であることを知らせます。T細胞はその花粉の情報をB細胞に知らせて、B細胞が形質細胞に変わって、IgEという抗体を産生します。
この花粉に反応するIgE抗体のある中で、花粉が体に入ってくると花粉をIgE抗体が結合して、白血球(特に肥満細胞)からヒスタミンや化学物質を産生させ、鼻や目の粘膜や血管に働いて、涙や鼻水が出てきます。粘膜の浮腫が出てくると、鼻づまりになります。
花粉が直接体に接するのは、目や鼻ですから、花粉症にかかると、目と鼻に症状が集中するのです。
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